Hiroki Mita

父に愛されたクルマたちのように
人に大切にされるクルマを作りたい

三田 寛樹さん / Hiroki Mita

「私がエンジニアを目指したのは本当に自然な流れでした。というのも父もエンジニアをしており、まだ私が小さな頃、自分の仕事内容や取り組み、どういう想いでものづくりをしているのかを日常のなかでいろいろ話をしてくれていました。そんな父の話からいつしかものづくりに対する憧れを抱くようになりました。ものづくりのなかでも自動車を作ると決めたのも父の影響です。父はすごくものを大事にする人でした。クルマについてもそうで、40年間で購入したクルマはわずか3台。1台のクルマを本当に大事に乗っていました。その姿を見て、こういうふうに人に大切にされるクルマを作る仕事に携わりたいなという想いがあってマツダへの入社を決めました」。

現在、技術本部 車体技術部 プレス技術グループに所属する三田寛樹さんは、開発部門でデミオやCX-3のアンダーボディの設計を担当したのち、2014年から現部署でCX-9のルーフやCX-5のフロントフェンダーの量産立ち上げを担い、現在はデザイン段階の次期モデルの先行開発業務に携わっている。「私の担当領域であるプレス成形は昔からある加工法ですが、シミュレーションやCADの活用などで予測技術が向上しています。これまでは不具合の発生懸念を経験や過去事例から予測、判断して量産に耐えうる限界を決めていましたが、進歩した予測技術によって更なる限界にチャレンジし、技術を高めていくことができるようになりました」。

チャレンジを続け技術を磨く毎日ではあるが、CX-5の開発では自身のやるべきことがより明確になった出来事があった。「私がCX-5のフロントフェンダーを担当していた時、関係者が一同に集まり試作車を確認をする機会がありました。するとすぐにデザイナーから『ここの光の流れが僕のイメージしていたものと違うんだ』と言われたのです。まずひと目クルマを見ただけでイメージと違うことがわかるくらいデザイナーは想いを込めて作っていることに驚きました。その一言で私たちは金型もパネルも徹底的に測定しなおし、測定では捉えられなかった微妙な差異を金型やパネルを自分の手で触ったり、光を当てて反射を確認したりという官能評価により徹底的に分析して原因を特定、作業担当者とともに金型の修正を行いました。その結果、デザイナーが納得するものに仕上げることができたのです。この時、こうやって突き詰めていかないと良いものはできないことがわかりましたね。デザイナーの想いを実現し、お客様に届ける。限界に囚われず技術を磨いて更なる進化に挑戦していくことこそ、私の仕事なのです」。

憧れのものづくりをする仕事に就き、すでに多くのクルマを手がけた三田さんだが、この仕事をしていて一番嬉しかったのは地元での小さな出会いだったという。「ある日、地元に帰る機会があったんです。会社の近くではどこへいってもマツダのクルマを見かけますが、私の地元ではまだそれほどマツダのクルマを見かけることはないんです。しかしその日、私の目の前を一台のデミオが通り過ぎたんです。新車で購入いただいたようで、しかも初心者マークを付けていました。一番最初に乗るクルマで、しかも新車で、私自身がその設計に携わったデミオを選んでくれたことがすごく嬉しかった。お客様はこれから先ずっと続くカーライフをこのデミオで始められたわけですからね。本当にものづくりの道を選んでよかったと思いました。ちょっとづつでも前に進みながら、一人でも多くの方にマツダを選んでもらえるように私たちはこれからも頑張っていかなければならないなと思っています」。

Hiroki Mita

三田 寛樹さん / Production Engineering

技術本部 車体技術部 プレス技術グループに所属するエンジニア。新型CX-5のフロントフェンダーを担当。現在は今後登場する車両の先行開発に携わり、デザイナーとの積極的なコミュニケーションを行い美しい造形表現を実現するためのプレス技術向上に取り組んでいる